社会学研究会

祭礼における共同性はいかにして可能か――東京圏の神輿渡御における町会―神輿会関係を事例として

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記事タイトル 祭礼における共同性はいかにして可能か――東京圏の神輿渡御における町会―神輿会関係を事例として
著者 三隅貴史
掲載号 64巻3号(197号)(2020-02)
ページ 59〜76
要約 本論文の目的は、祭礼に自己充足の価値づけを行う地域外参加者が多数を占める東京圏の神輿渡御において、なぜ秩序だった神輿渡御が可能なのかという問いをとおして、高齢化・人口減少時代の祭礼における共同性について論じることにある。そのための事例として、台東区のA神輿会―一〇の町会関係と、四つの町会による祭礼運営を取り上げる。 祭礼は参加者の統合のための行為であり、それ 祭礼は地域外参加者などの個々人の楽しみのための行為であり、共同性 は成立しないという二つの視角から分析されてきた。これに対して筆者は、東京圏の神輿渡御を、価値をめぐる闘争のその時点での決着にもとづき、異なる帰結が立ち現れうる行為として分析する。 現代の神輿渡御において秩序が可能な理由は、神輿渡御の三者関係が成立しているからだ。神輿渡御の三者関係とは、町会―町会に協力的な神輿会―自己充足を優先する神輿会の三者関係によって神輿渡御が成立していることをさす。 この中では、町会が自らに協力的な会により多くの資源と特権を与えることで、その会を町会のためにふるまわせ、自己充足を優先する会を管理させている。その結果町会は、秩序だった神輿渡御と共同性を成立させている。 三者関係にもとづき、東京圏の神輿渡御において共同性が再成立している状況を、社会統合論の文脈から地域の再統合と総括する。再統合とは、地域外参加者の貢献によって、町会にとってあるべき神輿渡御が成立したことによる、その地域に愛着を持つ人びとの間での共同性の再成立をさす。
要約(英文)
外部URL https://doi.org/10.14959/soshioroji.64.3_59